トリックスターとは世界各地の 《自然・神話・民話》

神話や民話に登場するいたずら者。

道化の神話的形象といえるが、これはたとえば、西アフリカにおけるいたずら者の神や、アフリカ全土で語られる野兎や蜘蛛、亀といった動物であったりする。

北米インディアンの神話においても、コヨーテやワタリガラスなどの動物になったり、人間の姿をとったりしている。

彼らには共通して、機知、機転、狡猾さ、気まぐれ、悪ふざけなどの性格がみられる。

また、この世に混乱と破壊を引き起こすと同時に、しばしば混乱のなかから未知の文化要素を生み出し、破壊のあとにふたたび新しい秩序をもたらすという文化英雄的役割も果たしている。

こうした特徴は、ギリシア神話の商売と競技の守護神で、霊魂を冥界に案内するヘルメスや、日本神話の素戔嗚尊などにも認められる。

トリックスターは、神と人間、天と地、秩序と混沌、自然と文化の間を行き来し、その境界で活躍する両義的存在となっている。

心理学者のユングはトリックスターを「未分化な人間の意識の模写」と考えたが、フランスの人類学者レビ・ストロースは「人間が世界を把握するために用いる基本的カテゴリーの対立を仲介し、世界についての統一的認識を与えるもの」と説明している。
update:2010年02月25日